軽減税率対応ガイドライン

いままでなかった制度のため、まだ何か最適解かという点で結論が出ていない軽減税率。 データ入力面の混乱は一時的としても、帳票の見づらさや数値管理上の煩雑さは長引きそうです。 事務処理においてはロスばかりでひとつもいいことなさそうですが、せめてロスは最低限に食い止めたいものです。

このガイドラインの最終更新日は『9月10日』です。 お客さまからいただいたご質問、ご意見、お問い合わせの内容を、そのつど反映し、このページも、軽減税率対応版エムウェブも、 ただいま頻繁にアップデートをくりかえしています。最新情報は当ガイドラインを随時リロードしてご確認ください。

9月末までの本番前テストについて

本番前にテスト運用したいというご要望をたくさんいただいておりますので、
以下に、軽減税率対応のもっとも簡便なテスト手順をご案内させていただきます。
  • テスト専用の軽減税率対象品目を商品マスターに追加
  • 10月1日以降の先日付で売上データ入力
  • 納品書等を発行してみる
  • テストが終わったらテスト用データを一括削除
です。
飲食店さまのオーダーエントリーシステムや、
簡易のタッチ式ポスレジ、
ECサイト(ネットショップ)のように、
日付の変更が少しめんどうな場合は9月中の日付でもかまいません。
下記に案内するように、
税率区分が「2」となる売上データや会計データを入力すると、
10月1日より前であっても、軽減税率対象として扱われます。
ただ、 標準税率は8%、軽減税率にあたる税率は5%というところが10月以降の本番と異なるだけなので、
どのように軽減税率商品を扱えばよいかという運用面の感触はつかんでいただけるはずです。
証憑(納品書、レシート等)上で消費税がどのように記載されるかも確認していただけます。
システムが大幅に改変された直後は、
エラーなどの不具合が起きる確率がもっとも高くなり、
最悪の場合、
お得意さまへの請求金額が意図した額と異なるという事態も生じかねません。
現場の混乱を未然に防ぐためにも、
最低限、要所の動作テストを早めに実施されることをおすすめいたします。

要点のまとめミニマム

現場で事務処理を担当される方は、
ひとつひとつのデータで税率の区分をはっきりさせる
ことだけ
を、
まず徹底してください。
売上データや会計の仕訳データ入力時の、
「税率区分」欄が重要です。
軽減税率8%が適用される取引のデータには税率区分「2」
10%の標準税率の場合は「1」(従来通り)がセットされればOKです。
その処理を自動的にシステムにやらせるために、
品名マスターにあらかじめ品目ごとの税率区分をセットしておけばいいです。
マスター切り替えのタイミングは
9月30日の営業終了後から、
10月1日の営業開始前までのあいだ
がベスト
です。
CSVファイルを使った一括アップロードなど、
一斉切り替えの方法がおわかりでない場合はご相談ください。
簡単にザッと手順を書いておきますと──
  • 品名マスターのデータ一覧表示で「CSV書き出し」ボタンを押す
  • 出力されたファイルを元に、必要に応じて税率区分の値を変更する
  • 変更する行だけ残したCSVファイルとする
  • 「CSVからの一括登録」を実行

簡単ですよね。
これも本番前にテスト品目で練習しておいていただければ、
本番では一瞬で切り替えることができます。
むすかしかったらお手伝いしますので連絡ください。
そうすることで、
いつものようにデータ入力時に品目を選んだだけで、
既定の消費税率が自動的にセットされるようになります。
税率区分「2」さえ使わなければ、
システムは、軽減税率がなかった時代と同じように動作します。
商品価格の登録については、
品名マスターに税抜価格セットされている(すなわち「税込み区分」「0」)なら、
価格設定はそのまま変更なしでかまいません。
伝票発行時の消費税計算のタイミングで消費税差額分が「値上げ」となります。
品名マスターに税込み価格セットされている(すなわち「税込み区分」「1」)なら、
税込み総額ベースで値上げするのかしないのか、
いずれか意思決定してください。
値上げなら、
マスター登録されている額面上の価格を変更しなければなりません。
9月から10月へ、
税率が切り替わるタイミングの前後の期間がなかなかやっかいです。
該当するクライアントさん、
個別にご相談ください。
なお、軽減税率対応の中で、
いちばん理解に苦しむのは値引きに関わる処理や設定です。
これについてはあとで詳しく説明しますので、
必ずお読みください。

データ入力段階で気をつけること

上記のとおり、
入力時に気をつけないといけなくなったのは「税率区分」のみです。
しかしこれは別に新しい項目が増えたわけではなく、
これまで「税区分」としていた項目名称を改め、
「税率区分」としてわかりやすくしたものです。
  • 非課税 → 0
  • 標準税率課税 → 1
  • 軽減税率 → 2
  • その他の変則税率 → 3
  • 税率が決まらない値引き → 9

「3」「9」がよくわかりませんね?
はい、
ちょっとだけ大事なので、
あとで説明しますからちょっとだけ読んで頭に置いといてください。
従来の税区分は「1」しか入りませんでしたので、
ほとんど意識しなくてよかったわけですが、これからも、
いちばんいいのは、
ふだんの入力作業ではその区別を意識せず、忘れていられるのが理想です。
そのためにはまず、
品名マスターの登録内容に気をつけてください。
品名マスターに登録されていない品目を、
そのつど手打ちで入力するような場合は、
全体の既定値 が、
自動的にセットされます。
主に食品を扱うクライアントさんの場合、
すでに「2」がセットされています。
>通常は軽減税率の商品がメインなので、
>既定値は「2」にしているが、
>たまーに標準税率が混じる

っていうケース、
なかなか悩ましいものがありますが、
あらかじめ仕込みができないほどイレギュラーな場合は、
そのつど個別データの入力画面で手作業で変更してもらえればだいじょうぶです。
典型的な例は、飲食店さんの場合で、
同一の商品であるにもかかわらず、
イートイン(店内飲食)なら10%、
テイクアウト(持ち帰り)したら8%、

っていうアレですね。
10%と8%の境界の線引きは各社の判断にゆだねるとして、
このデータ処理には幾通りか異なる方法が考えられます。
かなりやっかいなので次項で詳しく説明しますから、
飲食店さんはご一読ください。
なお、
10月1日をすぎてからの売上データでも、
受注日がそれより以前だった等の理由で、
経過措置として旧税率(8%)が適用されることがあります。
9月末まで標準税率だった8%と
軽減税率の8%は別物
であることに注意してください。
税率区分「1」として売上データを立てた場合、
売上データの日付(登録した日付ではなく発生日付)が10月1日より前であれば、
消費税計算時に税率8%が適用されますが、
10月1日以降は10%が自動的に適用されます。
売上データの日付が
10月1日以降であるにもかかわらず、
経過措置として旧標準税率の8%を適用する場合は、
税率区分は「3」をセットして
ください。
本来の売上発生日は10月だが、
税率に関わる処理がやっかいだから
便宜上9月30日以前の日付でデータ処理してしまう

‥‥というくらいの融通はきかしてもバチ当たらないと思われます。
最後に「9」ですが、
これは、値引きのうち税率が決められないものにセットしておく区分です。
このたびの軽減税率関連の中で、
いちばんむずかしく、わかりにくいのがこれ、
税率のあいまいな値引きに関する設定や処理ですので、
あとの説明をじっくり読んで、慎重にマスター設定してください。

あらかじめ準備しておくこと

商品マスターに登録された各品目の「税率区分」

確認してください。
売上データや仕訳データに税率区分があるのと同様に、
それぞれの品目も同じく税率区分をもっており、
品目のマスターデータが参照された際には、
それぞれの品目がもつ税率区分が自動的に売上や仕訳といったジャーナルデータにセットされます。
ふつうはそれだけでコト足りるので、
食料品を扱う事業者さん以外は何も心配いりません。
が、
イートインとテイクアウトのどっちもやってる飲食店さんの場合など、
標準税率と軽減税率が混在する場合、
事前準備の段階で対応が分かれます。
以下の説明は主に飲食店さまを対象とした品名マスター登録方法で、
それ以外の業種ではここまでむずかしいことはないと思われますので、
必要に応じて取捨選択をお願いします。
【方法その1】
ひとつの商品で税率が異なる場合に、
これを別物と考えて、
別々にマスター登録する。

【方法その2】
同じものであれば登録はひとつで、
販売の際に税率区分を変更する。

この2通りです。
それぞれメリット、デメリットがあり、
どちらがいいかは一概にはいえません。
営業の実態に合わせて選択していただければと思いますが、
では、
どういう営業実態ならどのように運用していくか、
そのガイドラインです。
あなたがクレープ屋さんだったとしましょう。
いちばん人気は
いちごミルフィーユ
460円
です。
方法その1で、
同じものを別々の商品として登録するということは、
たとえば、コード番号、品名、価格の順に──
101 いちごミルフィーユ  460円(内税42円)
201 いちごミルフィーユ★ 460円(内税34円)

のように登録するということです。
「★」マークのついているほうがテイクアウトだと、
社内でわかるようにしておくわけですね。
そしておいて、レジ打ちの際、
テイクアウトなら「★」のついているほうをはじめから選んで販売します。
つまり販売時に品目を打ち分けるという手順。
方法その2で、
同じものなんだからひとつの商品として登録するということは──
101 いちごミルフィーユ  460円(税込)

だけ登録するということです。
レジ打ちの際は、
軽減税率であることを区別するためのボタンを押すなどの操作をします。
(たとえば当社のクラウド型ポスレジ「タッチぽす乃助」には、
押すだけで軽減税率適用に切り替えられるボタンがあります。)
つまり品目を打ち分けるのではなく、
販売時に軽減税率なら別途指定するという手順。
登録メニュー品目数100、200とかなり多く、
しかもそのほとんどが持ち帰りできる場合などは、
すべてのアイテムを2つずつマスター登録するのも手間だし、
しかも選択するときに迷うことも増えるということで、
方法その2を推奨することになるでしょう。
店内で食べても持ち帰りでも、
お客さまの支払額が同じになる、
税込同一価格
を採用される場合、
マスター登録時にもやはり「税込み価格」を登録しておけばわかりやすいでしょう。
お客さまの支払額が同じにならない外税計算方式で、
本体同一価格
を採用される場合、
マスター登録時に「税別価格」を登録しておくことにすれば、
方法その2のようにひとつの商品をひとつだけ登録しておいても、
レジ操作時に消費税が計算されて販売価格が変わります。
本体同一価格を採用し、
お客さまの支払額が異なる商品を税込み価格でマスター登録されたいのであれば、
方法その1で別々に登録しておくほうがわかりやすくていい‥‥とは思いますが、
なんとなくですが、あまりおすすめはできません。
売上集計を、
イートインとテイクアウトをきっちり分けて管理したいニーズがあるのであれば、
別物として登録(方法その1)しておいたほうが後々便利でしょうが、
消費税の区分などはあまり重要でなく、
品目毎の売上を総額で管理したいニーズのほうが大きいのであれば、
ひとつの商品として登録(方法その2)しておき、
税率区分をそのつど変更するほうがベターかもしれません。
いずれにせよ、
ご不明な点は実運用前にお問い合わせください。

納品書とかレシートとか請求書は

請求書の書き方はかくあるべし
というわけで、
適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)というもののフォームが決められました。
適格請求書は「インボイス(invoice)」とも言います。
2023年10月から始まる制度に「適格請求書等保存方式」といのがありまして、
これを「インボイス方式」とか「インボイス制度」と呼んだりしています。
軽減税率の導入、すなわち複数の税率が混在する状態が、
このインボイス制度に関係しています。
制度についての詳細な説明は、
みなさんそれぞれでググって調べていただくとして、
軽減税率対象品目を扱っているとか扱ってないとかに関係なく、
大きな影響があります。
注意喚起のために大きな字でくりかえし書きますが‥‥
影響は大です。
要するに、
税率がワンパターンの時代は計算も楽でわかりやすかったが、
商品ごとに税率がちがってくると税金の計算がややこしいということで、
何%の税率のものがいくらあるか、その明細(内訳)をはっきりしろ
という話になるわけです。
軽減税率が導入される2019年10月から、
インボイス方式が導入される2023年10月までの4年間は、
「区分記載請求書等保存方式」が適用されることになってます。
意味は同じで、
税率ごとの対象品目や対象金額がわかるようにしろとうことです。
消費税8%から10%への増税実施が2度も延期されたように、
インボイス制度の導入も延期されるかもしれませんが、
情勢としてはインボイス対応は避けられないという流れであることを、
まずはご理解ください。
以下、
納品書(請求書やレシートも意味は同様)の対応例です。
軽減税率がなかった時代のままのシンプルなタイプ
※内税方式,税率8%とする
品名 金額
いちごミルフィーユ460920
抹茶カスタード480480
ばななプリン_テイクアウト280840
ハッピークーポン※税率8%設定▲500▲500
   
 
合計1740
内消費税129

軽減税率がなかった時代のままのシンプルなタイプ
※外税方式,税率8%,値引きは単品処理とする
品名 金額
いちごミルフィーユ460920
抹茶カスタード480480
ばななプリン_テイクアウト280840
ハッピークーポン※税率8%設定▲500▲500
小計1740
消費税139
 
合計1879

軽減税率がなかった時代のままのシンプルなタイプ
※外税方式,税率8%,値引きは一括処理とする
品名 金額
いちごミルフィーユ460920
抹茶カスタード480480
ばななプリン_テイクアウト280840
小計2240
消費税179
ハッピークーポン※税率8%設定▲500
 
合計1919

区分をきちんと記載したタイプ
※内税方式,標準税率10%と軽減税率8%の混在
品名 金額
いちごミルフィーユ460920
抹茶カスタード480480
*ばななプリン_テイクアウト280840
ハッピークーポン※税率あいまい設定▲500▲500
  10%対象税込売上1088
   内税額99
  8%対象税込売上652
   内税額48
  一括値引き計▲500
   10%値引き按分▲312
   8%値引き按分▲188
 
 
合計1740
内消費税147

区分をきちんと記載したタイプ
※外税方式,標準税率10%と軽減税率8%の混在
品名 金額
いちごミルフィーユ460920
抹茶カスタード480480
*ばななプリン_テイクアウト280840
税別小計2240
   消費税額207
税込小計2447
  10%対象税別売上1400
   消費税額140
  8%対象税別売上840
   消費税額67
ハッピークーポン※税率あいまい設定▲500
   10%値引き按分▲313
   8%値引き按分▲187
 
合計1947

いかがでしょうか。
上の2つがもっともシンプルな、
複数税率が混合しない場合には許容されるのではないかと思われるタイプです。
下の2つは逆に、
国税庁が求める要件を最大限に尊重したかたちのタイプです。
スッキリとゴテゴテ、
ずいぶん差があることがわかります。
顧客中心の目線で考えるなら、
スッキリわかりやすくシンプルなほうがいいという結論になるでしょうが、
あいまいさを排除するのも親切のうちという考え方もあるでしょう。
国家がどのような制度や方式を押し進めようと、
絶対にこう表記しなければならないということはありません(有利、不利の差はある)ので、
省ける表記はできるだけ省き、
お上に睨まれない程度に簡略化する方策を各社で模索していただければと思います。

値引き(クーポン使用も)に注意!!

「クーポン」「金券」「10%オフ」等、 各種の値引きを独自で商品マスターに登録される際は、 「品名区分」の設定にもご注意ください。 システムが税率ごとに値引きを按分するのは品名区分が「3」で税率区分「9」の場合です。
軽減税率のしくみの中で、
もっともやっかいでわかりづらいと思われるのは、
お買い上げ額の合計に対して一括してまとめて値引きをする際の処理です。
上記、
納品書、レシートの具体例でも出てきましたが、
金券やクーポンを使用した場合とか、
全体の売上から10%オフを適用するとかした場合、
その割引に該当する金額についての税率はなんぼやねん?
という問題が発生するわけです。
適正とされている計算方法は、
標準税率適用対象商品の売上高と、
軽減税率適用対象商品の売上高との比率によって、
割引額を按分(あんぶん)するということらしいです。
意味わかりますか?
大半の消費者にとってはどうでもいいような按分の内訳を、
いちいち納品書やレシートに表記しなさいということになってます。
しかしたとえば、
クレープ屋さんが発行したのが、
持ち帰り商品のみに使える専用クーポンだったとすると、
そのクーポンについての税率は8%に固定されますから、
たとえお買い上げ商品が10%と8%の混合だったとしても、
按分計算の必要はなくなります。
これを、
前項の3つめの伝票の例を用いて比較してみますと──
クーポンに税率についての限定条件がないタイプ
※内税方式,標準税率10%と軽減税率8%の混在
品名 金額
いちごミルフィーユ460920
抹茶カスタード480480
*ばななプリン_テイクアウト280840
ハッピークーポン※税率あいまい設定▲500▲500
  10%対象税込売上1088
   内税額99
  8%対象税込売上652
   内税額48
  一括値引き計▲500
   10%値引き按分▲312
   8%値引き按分▲188
 
 
合計1740
内消費税147

クーポン使用が標準税率対象商品に限定されるタイプ
※内税方式,標準税率10%と軽減税率8%の混在
品名 金額
いちごミルフィーユ460920
抹茶カスタード480480
*ばななプリン_テイクアウト280840
*ハッピークーポン持ち帰り用※税率8%設定▲500▲500
  10%対象税込売上1400
   内税額127
  8%対象税込売上340
   内税額25
 
 
合計1740
内消費税152

クレープを買ったお客さんが実際に支払う金額は変わらないのに、
本体価格と内消費税が変化するという、
どっちでもいいようなよくないようなめんどくさい事情があるということを、
いちおう知っておいたほうがいいかもしれません。
パッと見た感じでは、
クーポンの利用条件を絞って税率を決めておいたほうが印字行数が少なくスッキリしています。
が、
クーポン使うお客さんの身になってみたら、
どっちにでも使えたほうが便利なわけなので、
どっちがオススメかとかは一概にはいえません。
それに、誰のためにもならないこんな面倒な表記、
インボイス制度が始まる前にほんとうに必要なのかどうか、
まだナゾです。
世間一般の対応を様子見しながら後出しジャンケンっていうのが意外と賢明かもしれませんね。

超ウザい値引き処理についてもっと細かく

値引きといってもいろいろあります。
販売する商品の税率が標準か軽減かのどちらか一方で、
混在がない場合はここはほとんど関係ありませんから読み飛ばしてもらってもかまいません。
ややこしいのは混在があることを前提とした場合の値引きです。
お買い上げ額の合計から10%オフするとか、
1円単位で端数が出たときにその額をおまけするとか、
配っておいたクーポンや金券を持ってきたら安くなるとか。
どんな値引きでも、
これからは税率を意識しなければなりません。
「単品値引き」などと呼んでいますが、
たとえばバーゲンセール期間などで、
お客さんが特定の商品をお買い上げになったとき、
対象商品が50%オフになるとかですね。
本日のオススメ商品で、
サンマ3匹で100円引きとか。
価格がマイナスの商品と同じと考えて、
「50%オフ」とか「100円引き」などとして、
品名マスターに登録しておきます。
こういう値引きは、
適用する品目の税率に応じて値引きデータの税率が変わりますから、
あらかじめ税率を決めることができません。
はじめに書いたような値引き
  • お買い上げ合計から定率で引く
  • 端数を引く
  • クーポンや金券

も、
お買い上げ商品の中に、
10%と8%が混在するという前提では、
値引きの税率を前もって決めておくことができません。
このように、
レジの精算処理で最後にまとめて計算するタイプの値引きを
「一括値引き」と呼ぶことにします。
値引きには、
単品値引きと一括値引きの2タイプあると覚えておくといいです。
一括値引きは、
計算の最後に1回だけまとめてする値引き、
単品値引きは、
1回のお買い上げ中に何回でも使うことができます。
いずれにしても、
どの商品についての値引きなのかによって値引き自体の消費税率が変化するわけです。
しかも按分ですから、
値引き額いくらいくらのうち、税率10%適用がいくらで8%がいくら、みたいな、
超めんどくさく、超ややこしく、超わかりにくい計算が発生します。
くりかえしますが、上で述べたように、
ただでさえ面倒な軽減税率処理の中で、
いちばんややこしいのは一括値引きの按分です。
按分は「あんぶん」って読むんですが、
学校では習わない漢字なんですが、
めんどくさい感じを伝えたいのであえて漢字で書いてます。
場合によっては割増料金の按分も発生してしまうかもしれませんが、
こんなややこしいもん、
できることなら避けたほうがいいので警告しておきます。
按分は超めんどうです!
なので、
できることなら値引きは対象商品を絞って、
税率がはっきり決められる状態にして、
あらかじめ品名マスターに登録しておくほうがいいです。
クーポンや金券でも、
適用対象商品が10%と8%で混在しないとわかっていれば、
税率を決めておくことができますので、
どっちかの税率でマスター登録しておきましょう。
端数値引とか、
はじめから内税方式で端数のない価格にするとかして、
どうしても必要じゃないならやめちゃいましょう。
前もって税率が決められないとなると、
税率区分は標準の「1」でも軽減の「2」でもなく、
あいまいな税率ということで「9」をセットすることになります。
単品値引きと一括値引きのちがいについて、
理解してもらうための計算例をひとつ挙げてみます。
単品値引きと一括値引きの計算例
※外税方式,標準税率10%と軽減税率8%の混在
品名 金額
いちごミルフィーユ460920
ミルフィーユ半額クーポン
※税率はいちごミルフィーユと同じ
▲230▲460
抹茶カスタード480480
*ばななプリン_テイクアウト280840
税別小計1780
   消費税額161
税込小計1941
  10%対象税別売上940
   消費税額94
  8%対象税別売上840
   消費税額67
ハッピークーポン※税率あいまい設定▲500
   10%値引き按分▲264
   8%値引き按分▲236
 
合計1441
決してカンタンとはいいませんが、
最低限これだけわかれば値引き処理はだいじょうぶっていうレベルです。
まず、
「ミルフィーユ半額クーポン」は単品値引きです。
一括に対して単発という意味で単品値引きと呼んでるだけですから、
別に「単発値引き」でもいいですし、世の中で定着した用語でもない俗称です。
このクレープ屋さんが自由に作った品目なので、
この名称でマスター登録してあればいいです。
ここでは「いちごミルフィーユ」は標準税率ですから、
それに対して使われるクーポンも標準10%と決まります。
単品値引きの場合は先に引いて
税別小計を求めてから税額を計算しているが、
一括値引きは税額も加えた後の税込小計から引いてる

って順序になっていることがおわかりいただけますね。
>うちは一括値引きでも税別合計から引いてる!
ってお店、
それはそれでオッケーです。
国税庁もそこまではルール化しないので、
「一括値引き」という言葉の定義があいまいなように、
運用方法はお店の自由、勝手なんです。
エムウェブの標準仕様ではこういう順序になると解釈してください。
国税庁のミッションは税金を正しく徴収することですから、
課税対象額が税率ごとに正しく記録されていたらそれで文句ないわけです。
以下、
正しく納税するための会計処理に移っていきますが、
エムウェブでは、税率があいまいな値引きは、
按分されて2つのデータに分解されます。
分解したデータが会計帳簿上で、
それぞれ異なった税率をもつ独立したデータとして処理されます。
上の例ですと、
軽減税率がなかったころの会計処理では仕訳データはこんな感じでした。
▼会計仕訳データ・1
借方:売上返品値引
貸方:現金
金額:460円

▼会計仕訳データ・2
借方:売上返品値引
貸方:現金
金額:500円

シンプルで楽チンだったんですけどもね、
それがこれからはこんな感じに変わるってことなんです。
▼会計仕訳データ・1
借方:売上返品値引
貸方:現金
金額:460円
税率:10%

▼会計仕訳データ・2
借方:売上返品値引
貸方:現金
金額:264円
税率:10%

▼会計仕訳データ・3
借方:売上返品値引
貸方:現金
金額:236円
税率:8%

はい、
データがいっこ増えてますね。
分解したから増えたんですが、
こうすることで税率ごとの値引きがきちんと会計にわかりやすく反映されるから、
国税庁も黙って納得ってことなんです。
ただし、
ここでひとつ問題が。
分解してデータを増やしても、
元のデータは削除するわけにはいきませんから、
そのままでは集計したときに値引き額が2倍になってしまいます。
そこでシステムは、
金額を相殺するためのデータを発生させます。
まだおまけにもういっこデータが増えるってことです。
税率のあいまいな1個の値引きデータが、
4つのデータに増殖するというめんどくさいことになるわけですが、
いまのところこれ以上に合理的な解決策は浮かんでおりません。
税率ごとに日々の売上データを集計したり、
検索して表示させたいときなどにもこれでスムーズです。
会計処理上は按分後の2つのデータしか見えないようになってますので、
ごちゃごちゃした感じは最小限に食い止められるかな、と。
‥‥う~ん、どうも、
これ以上は活字ではうまく伝えられそうにないし、
そうしようという気力も萎えました。
お電話いただければ説明しま~す┐(-。-;)┌
移行期をのぞき、軽減税率のせいで負担が増えたとすれば民間企業として敗北です。 日常的に税率を意識せず、軽減税率がなかったころと同じか、または逆に事務処理を減らすことがエムウェブのミッション。 脳が怠慢じゃなければそれはゼッタイ可能なのでがんばりましょう。前より手間が増えてると感じたらご相談を。