カンセツ業務ってナニ?
数字を見たらアレルギーが起きるんですと?小、中学校で、
算数が苦手だった社長に、
ときどきあります、こういうこと。
カンセツ業務の意味がわからないと、
仕事の割り振りをごちゃ混ぜにしがちなんじゃ‥‥
──あ、
すいません。
説明が足りませんでした。
案外ごぞんじない方が多いんですね、
カンセツ業務って何か
っていうことを。
>え?なに?
>カンセツ業務?
>うちはそんな仕事やってへんで。
>ないない。
‥‥とか ε=( ̄。 ̄;)
さっすが数字はきらいとおっしゃるだけのことはあって、
ええ感じです。
でもね、
ちゃんとあるんですよ!
漢字で書くと間接業務。
あなたの会社にもまちがいなく、
直接業務と間接業務ってもんの両方があって、
誰かがそれをやってます。
じゃあそれ、
間接業務ってなんなんでしょうか?
はい、それは、
直接的に収益を生み出さない業務のこと。
人事、総務、経理、企画、
広報、情報システム、秘書‥‥などなどのお仕事は、
作業そのものがお金を稼ぐわけではなく、
お金を稼ぐ人たちの管理と支援をやっているわけなんですよね。
汗水たらしてはたらいた、
あなたのパンツを奥さんが洗ってくれてるとしたら、
広い意味で、
それも間接業務です。
(自分で洗っても間接業務ですからおまちがえなく。)
>それも大事な仕事やろ!!
‥‥あ、はい。
そのとおりです。
そうなんですが、
大事か大事じゃないとかの話じゃなく、
稼ぐか稼がないか
で
区別されるんです。
何から何まで少人数でやっている会社は、
きっちり担当が別れてなくて、
間接業務ばっかりやってる部署っていうのはないかもしれませんが、
経理部とか総務課とか品質管理センターとかがあるとしたらそれを
間接部門
っていうんですね。
部門はなくても経理ばっかり専門でやってる担当がいたら、
間接人員
といいます。
いうまでもなく間接の反対は直接です。
利益を出すことに責任のある部門や担当のことを、
それぞれ直接部門とか直接人員といいます。
手放すところに楽が来る。
利益を生む仕事に徹してください
おっしゃるとおり、間接業務も実に大事な仕事です。
利益を直接的に生む業務ではなくても、
間接人員の活躍が直接人員の士気に大きく影響を及ぼすっていう面もある。
まさに内助の功ってやつ。
業績が思わしくないときに肝心なことは、
稼ぐ役目を背負った人員が、
利益を生む仕事にどれだけ集中できているか
の
視点です。
営業マンは、
狩りをして獲物を持ち帰るのが仕事。
直接業務の専門家、
プロフェッショナルです。
そのプロが、
ベストなコンディションで狩りができるように、
あれこれ世話を焼いて環境を整えるのが間接部門のミッションなのです。
ところが、
調子のよくない会社っていうのは、
やっぱりそのへんがぼんやりしてます。
ハンターが猟に出られない。
朝一番にさっそうと飛び出そうとしたら、
ライフルの銃腔が錆びていた。
しかたがないので自分で磨いてたらいつのまにかもうお昼‥‥
みたいな。
そんなマヌケなことやっとったら、
命中率100%の名スナイパーでも仕事ができません。
儲かるわけがないんです。
きっと社長も、
社長本来の仕事ができてないんじゃないでしょうか。
絶望的なまでに労働力が不足する時代
2015年、中小企業の人手不足は
深刻さの度合を増しています。
少なくともわたしの関わっている範囲では、
その傾向が鮮明です。
>人が足らん!
>募集しても来ない!
と
悲鳴が聞こえます。
ワーカーは
どこに消えたんでしょうか?
東日本大震災のあと、
一時的に西のほうへ移動していた労働力でしたが、
東京でオリンピックが開催されえることが決まってからは
逆に東に流れ出ているように見えます。
都構想がつぶれて、
大阪が変革の発信源となる楽しみもなくなりました。
人手が足りないってことは、
働く側から見れば売り手市場。
ワンランク高い職場へ移るチャンスだと感じられます。
転職先が見つかりやすくなってるってことですから
辞めやすいってことで、
中小企業の離職率は高めに推移するでしょう。
辞められたら替わりの人が来ない。
儲けに直接つながる人財なら、
待遇を釣り上げて、
引き止めを図るでしょうか?
どれだけ採用コストがかかっても、
探し出してこないといけませんよね。
じゃあ、
間接人員はどうします?
コストだけで判断するな!
もし、事務員さんが辞めてしまったら?
>そしたらとりあえず、
>パートさんに来てもらいますわ。
>要するに伝票でしょ。
>納品書とか請求書とか出して送るだけやったら、
>なんとかパートさんでもやれるんちゃいます?
>経理のほうは
>領収書まとめて税理士先生に送ってるだけやから。
──ですよね。
こういうパターン、
実際に多いです。
もしくは社長の嫁さんが手伝ってるとか。
子育て中の主婦なら、
週に3日か4日、お昼間だけとか、
ちょうどいいくらいの収入になるかもしれません。
しかし事務っていうのは、
伝票を出すのが仕事じゃないんですけどね、
ほんとうは。
算数が苦手な社長さんは、
データの分析とか実績レポートの作成とかを軽視しがちですけど、
実は間接部門は会社の頭脳でもある‥‥
なんて、
ぜんぜん思いませんよねぇ。
利益を生まない間接部門にかかるコストは、
低ければ低いほどいいに決まってると思ってますよね。
パートさんでもできる作業なんだから、
安いほうがいいと。
ほんとうはそうじゃないって言いたいところですが、
ま、
ここではこのくらいにしときます。
意外な落とし穴──直接部門の間接業務
マネージャーがユニフォームを洗ってくれないとすると、選手は自分で洗濯しないといけません。
1年生にやらせていたら、
すぐに全員退部しちゃいました。
で、
飯を炊いておにぎりつくるのも選手自身。
グランドならしも、球拾いも、水まきも、
千羽鶴を折るのも選手自身。
走りこみの時間を削って洗濯ですか。
監督も手伝うんですか。
そんなんじゃ、
地区予選の初戦からボロ負けですよ。
会社の仕事だっていっしょです。
仕事を獲ってくるプロは、
見積書を作るプロではないんです。
接待で飲ませて酔わせて契約を決めてくる達人は、
パワポでプレゼン資料を作るのが大の苦手だったりするもんです。
どっちも器用にこなせる両刀づかいのプロはいない。
それが中小企業。
天才もいない。
直接部門の人員に、
むやみに間接業務をやらせてませんか?
間接人員にかけるコストを削ったばっかりに、
見えないロスが拡大しているのではないですか。
手放すところに楽が来る。